建設・土木の現場や、道路・鉄道の維持作業の現場では、充電式の電動工具や投光器、ポータブル電源、無線機など、バッテリーで動く機材が欠かせなくなりました。コードレスで取り回しがよい反面、リチウムイオン電池が発火したとき、すぐ近くに消火器がないという状況も起こりがちです。
本記事では、作業現場ならではのバッテリー火災のリスクと、高所・屋外・車両といった環境に合わせた初期消火の備え方を解説します。
現場で使うバッテリー機材と火災のリスク
総務省消防庁の調査によると、2025年(令和7年)にリチウムイオン電池等から出火した火災は全国で1,297件でした。製品別では電動工具が86件、ポータブル電源が51件と、現場で使われることの多い機材も上位に入っています。
電動工具の火災では、原因として「非純正バッテリーの使用」が15件と最も多く、「充電方法の誤り」「高温下での使用」「外部からの衝撃」がそれぞれ7件でした(出典:総務省消防庁「リチウムイオン電池等から出火した火災の調査結果の公表(令和7年)」)。
現場ならではの発火要因
- 落下・衝撃:足場や高所からの落下、資材との接触、車両での移動中の振動
- 高温環境:夏場の炎天下、直射日光を受ける資材置き場、締め切った車内
- 粉じん・水分:端子部への粉じんの付着や雨水の浸入
- 充電環境:仮設の詰所や車内での充電、互換バッテリーや非純正充電器の使用
現場では、家庭やオフィスに比べてバッテリーが傷みやすい条件がそろっています。
現場の初期消火が難しい理由
消火器が近くにない
消火器は詰所や重機、資材置き場などにまとめて置かれていることが多く、作業場所から離れていることがあります。特に高所作業中や、道路・線路沿いに長く延びた現場では、取りに行くまでに時間がかかります。
消火器は重く、持ち運びにくい
業務用の粉末消火器(10型)は総重量5kg前後のものが一般的です。はしごや足場の上、狭い場所に持ち込むのは簡単ではありません。
リチウムイオン電池の火災は再燃しやすい
リチウムイオン電池は「熱暴走」によって内部の発熱が続くため、表面の炎を消しても再び燃え出すことがあります。炎を一時的に抑えるだけでなく、冷却まで行うことが重要です。
現場で備えるための3つのポイント
1. バッテリーの扱いを現場ルールにする
- メーカー純正のバッテリー・充電器を使う
- 膨らみ・変形・落下歴のあるバッテリーは使わず、交換する
- 炎天下や車内にバッテリーを放置しない
- 充電は燃えやすい物から離れた場所で行う
2. 発火したときの動きを決めておく
消防署は、火花や煙が激しく噴き出している間は近寄らず、収まってから大量の水や消火器で消火し、十分に冷やすよう呼びかけています。KY活動(危険予知活動)や朝礼で、発火時の対応手順と通報の流れを共有しておきましょう。
発火時の対応フローの例
| 段階 | 対応 |
|---|---|
| 発見 | 大声で周囲に知らせ、作業を止める。高所作業中は安全に降りることを優先する |
| 退避 | 火花や煙が激しく噴き出している間は近寄らず、風上に退避する |
| 初期消火 | 噴出が収まったら、距離をとって消火具を放射する |
| 冷却 | 再燃に備えて水で十分に冷やし、可燃物から離れた場所に置く |
| 通報・報告 | 必要に応じて119番通報し、現場責任者・元請けに報告する |
あくまで一例です。現場の状況や社内ルールに合わせて手順を決め、作業者全員が迷わず動けるようにしておきましょう。
3. 「持ち歩ける」初期消火の道具を用意する
作業場所が移動する現場では、消火器を定位置に置くだけでは足りません。作業者が工具と一緒に持ち歩ける、軽量な初期消火の道具を備えておくことが有効です。
現場の備えに「Key-L119S」
エアゾール式簡易消火具「Key-L119S(キーエル119S)」は、リチウムイオン電池の火災に対応した初期消火スプレーです。現場での使用を想定した次のような特徴があります。
| 現場の課題 | Key-L119Sの特徴 |
|---|---|
| 消火器が重く、高所に持ち込めない | 540gと軽く、片手で持ち運べる |
| 火元に近づくのが危険 | 2〜4m離れた場所から放射できる |
| 狭い場所や低い位置の火元を狙いにくい | 360度どの角度からでも放射できる |
| 放射時間が短く、消し切れない | 放射時間は約28秒と、一般的な粉末消火器(約10〜15秒)の約2倍 |
| リチウムイオン電池の火災が再燃する | 冷却・浸透・窒息・安定化の4段階で熱暴走を抑え、再燃を防ぐとされている(メーカー資料による) |
| 使用後の粉末で現場が汚れる | 粉末が飛ばないため後片付けが容易 |
保管温度はメーカー仕様で−5℃〜+80℃、保管期間は5年です。リチウムイオン電池火災のほか、小規模な普通火災、電気火災、自動車用クッション火災などにも対応しているため、作業車への搭載にも向いています。なお、使用できる温度は0℃〜40℃のため、冬場の屋外などでは保管・使用環境にご注意ください。
鉄道・道路の現場での導入実績
Key-L119Sは、インフラの現場でも採用が進んでいます。
- JR西日本がOEM製品として駅ホームなどに導入
- 鉄道の維持施工業者が5本を採用
- 首都高速道路の維持業者が100本の導入を検討中
このほか、建築・土木の高所作業の現場や、道路・鉄道の維持作業、車両・モビリティなど、幅広い場面での活用が想定されています。
よくある質問
Q. 作業車に積んでおいても大丈夫ですか?
A. 保管温度はメーカー仕様で−5℃〜+80℃です。ただし、直射日光が当たり続ける場所はできるだけ避け、使用前には使用温度(0℃〜40℃)の範囲内であることを確認してください。
Q. 現場に置いている消火器の代わりになりますか?
A. いいえ。Key-L119Sは簡易消火具であり、法令などで設置が求められる消火器の代わりにはなりません。消火器に加えて、作業者の手元の備えとしてご活用ください。
Q. 複数の現場に配備したいのですが、相談できますか?
A. はい。配備本数や設置場所のご相談も承っています。お気軽にお問い合わせください。
まとめ:作業者の「手元」に初期消火の備えを
- 電動工具やポータブル電源など、現場で使うバッテリー機材の火災も起きている
- 落下・衝撃、高温、非純正バッテリーの使用など、現場には発火要因が多い
- 消火器が遠い・重いという現場の課題には、持ち歩ける簡易消火具が有効
- リチウムイオン電池の火災は再燃しやすいため、冷却まで考えた備えが重要
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